私の世代は「虫歯世代」と言われているようでして、子供の頃から歯医者によく通っていました。
しかし最近の歯医者さんは技術革新がすごいですね。ほとんど痛みなく治療してもらえます。
ある日、かぶせ物が外れて近所のかかりつけの歯医者さんで治療してもらった時のことです。
次の診察の際、先日入れたかぶせ物にかすかな違和感があり、そのことを医師に伝えました。ごく微かなものだっただので、「気のせいかも知れませんけど」と付け加えて。
すると、医師はこう言いました。
「いや、患者さんの『違和感』って、かなり信用できるものなのです。実際に何か問題があるケースが多いのですよ」
結局この時の違和感は本当に気のせいだったのですが、医師の言葉に「なるほどな」と思いました。
さて、ITエンジニアの皆さん。
皆さんはITのプロです。当然、情報システムに関する様々な知識を持ち合わせています。
しかし、皆さんが開発したソフトウェアを利用する人々(エンドユーザ)はどうでしょう。
当然ながら、コンピュータやソフトウェアの関連知識をあまり持っていない方も多くいらっしゃいます。
その方々からこう言われること、ありませんか?
「なんか、操作中にいつもと違うことが起きたみたいです」
とか、
「普段はうまく行くのに、その時だけエラー出てうまく行かなかったんです」
とか。
これ、ほとんどの場合、「再現性」がない、あるいは「とても再現しにくい」ケースが多いですよね。
対処に困ったITエンジニアはこう考えます。
「ユーザさんの勘違いでは?」
「再現待ちで様子見しかないな」
いやまあ、それしか手がないと言えなくもないのですが、わりと多くの場合、後日に事象が再現、ソフトウェア側に何かしらの問題があることが明確になったりします。
「エンドユーザの『違和感』は、わりと当てになる」
のですね。
だから、エンドユーザの言う「なんとなくおかしい」系の話は、充分に注意してよく聞きましょう。